各分類群に対して、iNaturalistではすべてのユーザーが自由に名称を登録することができます。これらの名称は、その分類群の古い学名であったり、各言語による一般名であったりします。名称の登録の方法はこちらをご覧ください。
iNaturalistでは、1つの分類群に対して複数の名称を登録することができます。既に登録された名称は登録したユーザー本人、またはキュレーター管理者が編集・削除することができます。同じ言語の名称が複数登録されている場合、そのうちの1つがデフォルトで表示されます(既定名称)。既定名称の変更はキュレーター管理者にしかできません。
ルールなく名称を登録していくと煩雑になってしまうため、iNaturalistでは和名も含む、名称全般について運用方針が定められています。しかし、その運用方針は基本的なものに限られており、和名にみられる独自の文化や特徴も踏まえた運用方針が必要です。そのため、このページでは、「和名の運用方針」をまとめました。追加すべきことや、改善できることがあればコメントをお願いします。
以下はキュレータガイドの名称に関する項目の翻訳になります。和名の運用方針についてはページ下部をご覧ください。
各分類群には、1つの名称(学名)の他に、複数の分類群名レコードがあります。分類名レコードは、現在の学名や古い学名、複数の言語による現地語名など、分類群に関連するすべての名称を保存するために使用されます。各名称は、指定された分類群および語彙に対して一意でなければなりません。
分類群の詳細ページの「分類」タブでは、ページの下部にすべての名称のリストが表示されます。iNatユーザーは誰でも、右下の「名前を追加」リンクを使って一般名を追加することができますが、学名を編集したり、他の人が追加した名称を削除できるのはキュレーター管理者だけです。
既定名称(デフォルトの名称)
アカウント設定の「言語」と「場所」の設定により、サイト上での一般名の表示方法が変わります。「名称を管理」ページ(分類群の詳細ページ>分類タブ)で名称をリストの一番上にドラッグして変更することができます。名称を編集して場所に割り当てることで、特定の場所に規定名称を指定することもできますが、これは異なる場所で名称が競合する場合にのみ行ってください。既定名称の一般名を変更する際は、慎重に行ってください。他の多くのユーザーが使用している名称を変更することになるかもしれないことを認識してください。
大文字表記
動物の一般名は、タイトルケースで入力し、各単語を大文字で始めますが(例:Atlantic Blackfin Tuna)、形容詞的なハイフンでつながれた単語の後半部分は大文字で始めません(例:Sulphur-crested Cockatoo)。
植物、菌類、その他の動物以外の分類群の一般名は小文字で記入します(例:spotted gum)。ただし、固有名詞はどこに現れても大文字で始めます(例:Tasmanian blue gum)。
ノート: スタイルの都合上、iNaturalistでは一般名を自動的にタイトルケースで表示することがあります。しかし、一般名はセンテンスケース(文章の先頭の1字だけを大文字にする表記法)で入力してはいけません(例:"Mountain gray gum"ではなく "mountain grey gum"と入力します)。
名称だけにしてください
例えば、"grumblefoots(この属は単型(1種しか含まれない)なので、ただ種のIDを提案するだけです)"のように、名称そのものに加えて、名称に情報をつけ加えないでください。私たちはさまざまな場所でさまざまな理由で名称を使用しており、余計な情報を加えることは、ユーザーをより混乱させ、デザインに組み込むことをより面倒にするだけです(例えば、一般名と学名を同時に表示することができなくなるかもしれません)。名称の誤用が本当に問題なのであれば、名称そのものではなく、コードで処理することが望ましいと思います。
良い一般名と悪い一般名
一般的に、名称は可能な限り具体的であるべきで、一般名も例外ではありません。例えば、Homo sapiensという種に「哺乳類」という名称をつけるのは良くないということは、ほとんどの人が同意するでしょう。ですから、初心者が見つけやすくなると思って、本当の一般名がない無名の腹足類に「カタツムリ」のような名称をつけないでください。むしろ、「カタツムリ」は何千何万と存在するので、見つけるのが難しくなります。その代わりに、その分類群のすべてのメンバーと、その分類群のメンバーだけを説明するような、分類群レベルの名称をつけるようにしてください。一般的に使われている名称がない種は、新たに名称を作らないでください。
例えば、種Cola cokeの下に、Cola coke ssp. classicとCola coke ssp. zeroという亜種がある場合、亜種に対して「Coke」という一般名を追加しないでください。これは、Cola cokeという種のIDを追加しようとしている人を混乱させるだけで、実際に亜種を選択しようとしている人にとっては難しくなります。代わりに、"Coke Classic "や "Coke Zero "のようなユニークな一般名を選ぶようにしましょう。*訳注:和名では種名と亜種名に同じ和名がつけられることがよくあります。
これは、地域性のある一般名(地名にちなんだ一般名)にも当てはまります。アイルランドで入手できるコーラの種類がCoke Zeroだけの場合、Cola coke ssp. zeroに「Coke」という一般名をつけてアイルランドと関連づけてはいけません。その名称は英語の名称を見ている人には見えているので、南アフリカで「coke」と検索してCola cokeという種類を見つけようとしている人は、希望しているものではないにもかかわらず、Cola coke ssp. zeroを見ることになります。(*種Cola cokeに対して「Coke」と名づければ、)アイルランドの人々が「coke」と検索しても、正しい種を選んでいることになります。亜種にしたいアイルランドの人々は、亜種名(あるいはよりよい学名)を使うことを学べばよいのです。
例えば、ある種や亜種が実際にどこか他の場所で同義の一般名を持っている場合など、一般名の重複が認められる珍しい状況がいくつかあることに注意してください。
高レベルの分類群では、すべての下位分類群を説明する一般名を見つけるのは難しいかもしれません。このような場合には、グローバルな既定名称として、「Heron and Allies(サギとシギ)」または「heath family(ツツジの科)」のようなものを使用します。
これらの基準を満たさない名称を見つけた場合、例えば「カタツムリ」という名称の10の分類群を見つけた場合は、容赦なく削除してください。
ここに示す方針は強制力を伴うものではなく、今後の議論によって変更・追加される可能性があります。このページが作成されるより前の議論はこちら。
iNaturalistによる一般名の運用方針と共通のルール
Comments
主に植物に見られる(広義)や(狭義)はどうしましょうか。普通学名も併記されるので、無くてもそんなに問題はないような気がするのですが、、
植物の和名に付いている(広義)・(狭義)は、ケースバイケースで柔軟に対応したいというのが個人的な考えです。
例えばヤハズエンドウ(広義)Vicia sativaは広義を残したほうがよいと考えています。背景として、種内分類群にはヤハズエンドウssp. nigraとオオヤハズエンドウssp. sativaが含まれていますが、この2亜種は現地であれば草丈などで見分けがつくものの、写真によっては判別が困難なことが多いです。この2亜種の区別が付かなくて種レベルの同定を付ける際に、(広義)と表記されているのは分かりやすくて助かっています。
また、他の種でも自動判定でも広義を提案されがちなため種レベルの同定が多く、できることなら種内分類群まで同定してほしいなぁと思う場面も多く、それを促すという意味でも(広義)という表現は残したいです。
スマホから投稿する方にとっては、学名では区別しづらいというのが実情ではないでしょうか。
一方で、アセビやタチツボスミレのように、せっかく種内分類群が登録されていてもほとんど活用されていない例もみられます。また、外部データベースとの整合性で問題があり、YListの学名が登録できていないトウゲシバ(広義)などもあります。こうしたものについては、広義を外しても問題ないように感じています。
色々書いてしまいましたが、総論としては、できる限り(広義),(狭義)を付けるかどうかに限らず、同一名を種・種内タクソンに重複して付けたくないと思っています。
非公式のDiscordサーバで海外の方から最近指摘を受けたのですが、日本で付いている亜種和名を種和名に付けてしまうのはいかがなものか?(日本ローカルの亜種名を広義といえど種名に付けるのはどうなのか?)というコメントがありました。それも最もな意見だと思います。日本人ユーザーの利便性との兼ね合いでしょうけど、あまり広義和名を付けすぎるのもどうなのだろうか…と最近考え直しています。
YListの広義,狭義の表記をこれまで目安にしてきましたが、和名をこれまで沢山設定されてきた方々からも、もしよろしければご意見をいただけたら幸いです。
@harumkoh , @keitawatanabe , @genjitsu , @skycat , @shangpan
長くなりましたのでコメントを分けます。
和名の運用方針ですが、キュレーターガイドにもルールが決められています。
https://www.inaturalist.org/pages/curator+guide#names
これはiNatとしての強制力を伴うルールですから、これと重複する部分は分けて記載したほうが良さそうです。後日余裕ができたら編集したいと思います。
キュレーターガイドの一般名部分の翻訳を追加しました。
例えば「ヤハズエンドウ」で検索したときは種ヤハズエンドウと亜種ヤハズエンドウが両方表示されますよね。種ヤハズエンドウを提案するべきか、亜種ヤハズエンドウを提案するべきなのかを判断するには、種ヤハズエンドウの下にどのような亜種があるのかを把握している必要があると思います。どのような亜種があるのかを把握している人は種ヤハズエンドウと亜種ヤハズエンドウの違いが種レベルなのか、亜種レベルなのかということを当然認識しているので、学名を見ればどちらを選べばよいのかわかるはずで、「広義」や「狭義」の記述がなくても問題なさそうに思えます。
その一方で、ヤハズエンドウに詳しくないユーザーは、どちらを選べばよいのかわからないので、もし広義、狭義の記述があれば、よくわからないから広義の方を選ぼう!という選択がとれますね。
ただ、気になるのはY-list以外でも「広義」などが使われている場合、齟齬が出来てしまわないのかということです。「広義」という言葉はその分類群をどう捉えているかという考えが介入してしまうように思います。
「ヤハズエンドウ(種)」や「ヤハズエンドウ(亜種)」のようにすれば、このような問題なくユーザーに違いが伝わらないでしょうか?種や亜種について、分類に不慣れなビギナーが考えるきっかけになるようにも思います。
全く異なる分類群に同じ和名がつけられている場合はどうしましょうか。サムネイル画像に写っている生物が小さかったり、学名を覚えていないために、どちらを選択すればよいのかわかりにくい場合があります。たとえば、「ホトトギス」を「ホトトギス(鳥類)」「ホトトギス(植物)」「ホトトギス(貝類)」とするのはいかがでしょうか。「ヒメカゲロウ科(カゲロウ目)」「ヒメカゲロウ科(アミメカゲロウ目)」のようなものもあります。
sableさんご提案の「〇〇(種)」「○○(亜種)」という表記の仕方はとても良いと思います。
同名異種の問題、頻繁に登場するのはそれほど多くないと思うので臨機応変に対応するのがよいかと思います。
genjitsuさん、ありがとうございます。もう少し、他の方のコメントも待ってみようと思います。
キュレーターガイドの翻訳、ボリュームもあるにもかかわらず、ありがとうございます!
一考しておりましたが、私も(種)、(亜種)という表記は良いのではないかと思いました。
また、同名異種の件ですが、私が巡回している範囲では、そこまで混乱が起こっているようには思えません。genjitsuさんの仰るとおり、臨機応変に、混乱しやすい種のペアに限って適用するのが良いのではないでしょうか。
細かい話ですが、個人的に、(広義)などを追加するときには、前例もみつつ、場所をとらないように半角スペースを使ってきました。何ら強制力があるものではありませんし、他の方にそうしてもらいたいということでもありませんが、一応お伝えしておきたいと思います。
全角より半角のほうがスペースを取らずに表示上都合が良いのはその通りですね!
議論の内容を踏まえ、「和名の運用方針について」の一部を以下のように変更・追記しました。
・種名と亜種和名が同じ場合、「ヤハズエンドウ(種)」や「ヤハズエンドウ(亜種)」のように分類階級を併記する。品種や変種も同様に扱う。丸括弧は半角にする。
・全く異なる分類群に同じ名称が使われており、紛らわしい場合は「ホトトギス(鳥類)」や「ホトトギス(植物)」のようにしてもよい。丸括弧は半角にする。
植物特有の問題なのかもしれませんが、上記の(種)・(亜種)を追記することで生じる問題を思い出したので、具体例を挙げて説明します。
クサノオウはYListではChelidonium majus L. subsp. asiaticum H.Haraですが、
http://ylist.info/ylist_detail_display.php?pass=2137
CoLのシノニム検索の結果やPOWOではChelidonium asiaticum (Hara) Krahulc.がaccepted nameとされていて、
https://www.catalogueoflife.org/data/taxon/5XQVN
http://powo.science.kew.org/taxon/910403-1
これに基づき、iNatでは「クサノオウ」=Chelidonium asiaticum、
「クサノオウ(広義)」=Chelidonium majusを採用しています。
http://ylist.info/ylist_detail_display.php?pass=20422
このため、上記で整理した方針を適用すると、両方とも「クサノオウ(種)」という表記になってしまいます。
分類群の整理によりいずれ解決する問題とは思いますが、これと同様に、YListで種内分類群とされていても、シノニム関係が逆転しているなどで種に格上げされているパターンが比較的頻繁に見受けられます。
国内で知られている分類体系とiNat taxonomyで序列に齟齬がある場合どうするのか。
iNatで種に格上げされたタクソンについては、広義種名を登録しないようにしてはいかがでしょうか?
これと関連して、「使われていない和名」の登録の仕方(「偽」にチェックを入れる)ですが、この方法では確かに分類群のページでは和名が表示されなくなるものの、観察記録では和名が変わらず表示されてしまいます。やはり登録そのものをしない方がよいのではと思い直しています。この点もいかがでしょう。
上記のクサノオウに関しては、Chelidonium majusを「クサノオウ(異分類)」にして無効な和名に、Chelidonium asiaticumを「クサノオウ」とするのが良いのかもしれません。これは広義・狭義とはまた別問題として整理したほうが良さそうですね。
クサノオウの例では、確かに何も和名を登録しないよりは、登録したほうがよさそうだと私も思います。異分類という言葉が妥当であるかは私は植物に詳しくないので判断できませんが、、、
使われていない和名は
①分類の変更により、別の分類群に和名が移ったため、従来の分類群に対してその和名が使われなくなった場合
②新和名の提唱により、旧和名が使われなくなった場合
があると思います。①は削除、②は偽にチェックでいかがでしょうか?
ヤハズエンドウは一般的にはVicia sativa L. subsp. nigraに対応する和名なので、「ヤハズエンドウ(種)」や「ヤハズエンドウ(亜種)」といった表現についてはもう少し検討した方が良いように思いました。
Vicia sativaはヤハズエンドウを含む上位分類群ではあると思いますが、「ヤハズエンドウ(種)」という表現はVicia sativaをヤハズエンドウとしても良いという印象を与えてしまうように思います。Vicia sativaの基本亜種がオオヤハズエンドウssp. sativaであるのでヤハズエンドウを認識していない海外のユーザーにとってのVicia sativaはオオヤハズエンドウであり、その和名にヤハズエンドウ(種)が加えられる状況は望ましくないように思えます。
個人的には、広義はその分類群を含む上位の分類群に用いるので、分類群をまとめて表現したい場合のみ必要最小限で(広義)を用いて、Vicia sativa L. subsp. nigraの和名はヤハズエンドウで良いのではと思います。なるべく上位分類群に下位分類群の名前を付けないことで問題が少なくなるように思いました。
混乱が起きそうなもの(というか自分が間違えたもの)につきまして、タワダギクやシュロガヤツリなどに(異名)をつけたことがあります。
①につきまして、現在モンキチョウやオオミズアオで行っているように〇〇(旧名)などとして残すのがよいと思います。分類の変更を知らないユーザーが、古い文献やネット資料を基に古い学名に和名を再度つけてしまう可能性があるためです。
②につきまして、古い和名でも通用するのであればメインの和名を新和名に設定し直すだけにして、偽にチェックは必要ないのでは…と思います。方言のようなもの、と考えますが如何でしょう。(「ヒカンザクラ→カンヒザクラ」「セムシウミウサギ→ボタンウミウサギ」のようなものを想像しています。)
学名と和名の新しい組み合わせを避ける方針についてなのですが、国内の目録等で採用されている属名と種小名の組み合わせがiNaturalistにおいてはシノニムとして扱われている(再分類に伴う属移動後の組み合わせが採用されている)場合も適用されるという理解でよいのでしょうか?そうである場合、方針自体の意義は理解できるものの、国内目録とiNatの齟齬はままあることなので厳密な運用はかなり難しそうに感じます。
@keitawatanabe @utchee 「ヤハズエンドウ」に関しては、「Vicia sativa L. subsp. nigra」にはヤハズエンドウという和名が用いられるものの、一般に「Vicia sativa」にヤハズエンドウという和名は用いられない、ということでよいでしょうか。このような場合、keitawatanabeさんの言う通り、個人的には「Vicia sativa」に対してヤハズエンドウを登録するべきではないと思います。記載例を「スズメ(種)」「スズメ(亜種)」に変更しました。
亜種に和名がある一方で、種に和名がない場合、厳密さを優先するか、利便性を優先するかで対応が変わってきそうですね。
種に対応する和名がない場合で、
①ただ1つの亜種にのみ和名が提唱されている場合
②名義タイプ亜種に和名がついている場合
このような場合はその亜種名を種名につけても良いのではないかと思います。iNaturalistでは種リストを表示する場合亜種和名は表示されないので、利便性のために少し妥協する形です。ただ、のちのち種に対して別の和名が提唱される可能性は否定できません。そのときは、改めて変更するのがよいのではないでしょうか。
ICNに詳しくないのですが、新しい品種・変種が記載されたとき、亜種が記載されたときのように名義タイプ亜種(のようなもの)が自動的に作られる、というわけではないですよね?品種や変種にのみ和名がつけられており、種に対して和名がいかがいたしましょうか。
@heikindai_87 確かにおっしゃる通りだと思います。iNatの仕組み上ここまで厳密な運用は難しいかもしれませんね。「和名と学名の新しい組み合わせを作らないでください。」を削除しました。
@genjitsu 現在使われていない対応関係に対して「旧名」をつける、ということですが、既に和名があれば新しく同じ和名を間違って古い学名につけることはなかなか無いと思いますが、一括登録した場合には登録されてしまうこともあるかもしれませんね。
ただ、これはiNatのキュレーターガイドの「名称そのものに加えて、名称に情報をつけ加えないでください。...(略)...名称の誤用が本当に問題なのであれば、名称そのものではなく、コードで処理することが望ましいと思います。」という方針に反してしまうんですよね。なるべく、分類群をどのように扱うべきか、ということを示す言葉を併記するのは避けたいと思っています。見解が実は一致しておらず、旧名とされている方が別の研究者には支持されていることがあるかもしれません。
同じ和名が使われていたら同定のときに戸惑うはずなので、プロジェクトジャーナル(ニュース)や日本語ユーザーWikiのヘルプでフラグを立てることを促したり、コメントでキュレーターに対応していただくというのはどうでしょうか。
確かに、古い名称はデフォルトにしなければよいだけなので、偽にチェックはいらないかもしれませんね。「和名の運用方針」から以下の箇所を削除しました。
現在使われていない和名を登録する場合、「学名の場合、現在認められているものでしょうか?」の「偽」にチェックを入れ、現在使われていないことを明示するのが良いでしょう。「偽」にチェックを入れるとその名称には横棒が引かれます。
古い学名と和名の扱いについては一度向こうの掲示板で軽く議論していましたね。
https://zawazawa.jp/inat-jp/topic/1/22
参考までに、「偽」にチェックを入れて「旧名」を外した場合(2種に同じ和名を付けて片方を偽にした場合)、同定や投稿時の挙動はどうなるのだろう、と思ってソトベニコヤガで試してみたところ、同定時には2種が同じように候補として出てきてしまいました。ファイル名「ソトベニコヤガ」での画像投稿時には正しい(偽にしていない)学名が自動適用されました。
@genjitsu
リンクを貼っていただき、ありがとうございます。
そうなりますと、旧名とつけずに偽にチェックは同定時に誤った分類群を選択する可能性が出てきてしまいますよね。旧名とつけていない場合、偽にチェックはやめておいたほうがいいかもしれません。
そうなると、旧名のほうは削除するか、または旧名と併記するのかになりますよね。
削除してしまうと従来の学名-和名の対応関係がわからなくなるのでよくなさそうですね。また、対立する考えの一方を完全に無いものにしてしまう可能性もあるので、避けた方がよさそうです。
分類群「A」が和名「α」と呼ばれていたが、分類群「B」が和名「α」と呼ばれるように変更された場合、分類群「A」に対する和名「α」を和名「α(旧名)」に変更するということでよいでしょうか?細かい部分ですが、和名との境界をわかりやすくするため、半角丸括弧があったほうが良いように思います。いつも的確な指摘をありがとうございます。何度も考えが変わってしまい、すみません。
@sable
ありがとうございます。ほかの事情には疎いのですが、植物では、ある亜種や変種に標準和名を与えた場合、その上位の種小名にも和名を与えるという慣習はないように思います。
JBIFの「維管束植物和名チェックリストver. 1.00」https://www.gbif.jp/v2/activities/wamei_checklist.html
によるとVicia sativaには和名が与えられていないようです。
一方で、もともと和名が与えられている種が細分化された場合には種小名までの和名と変種以下の和名が混在するようです。例えばHosta sieboldiiはコバギボウシで、Hosta sieboldii var. rectifoliaはタチギボウシとなっています。
学名の話になりますが、国際植物命名規約によると、種内分類群の学名が正式に発表された場合は亜種、変種、品種に関わりなく自動名が与えられるようです。タチギボウシHosta sieboldii var. rectifoliaが発表された時点で、コバギボウシはHosta sieboldii var. sieboldiiになるのですが、和名との対応はまちまちのようです。自動名を省略することは非常に多いと感じます。
和名のない種に下位分類群の和名をつけることの利便性はどのようなものがあるのでしょうか。和名がないのであれば学名のまま用いれば正しく認識できるように思います。和名のない分類群は日本にはほぼ無いので、一般ユーザーが学名を使うことにもつながらないように思います。
個人的には標準和名を用いるのが良いと考えているので、和名が示す分類群の幅がiNaturalistでは広くなることは避けた方が良いと考えています。
初めに戻ってしまいますが、Vicia sativaに和名をつける必要がある場合はヤハズエンドウ(広義)もしくはオオヤハズエンドウ(広義)とし、Vicia sativa subsp. nigraはヤハズエンドウもしくはヤハズエンドウ(狭義)とするのが、他から見ても自然な表記ではないかと思います。
否定的な内容になってしまいましたが、どうしてもというわけではありませんので、皆さんと議論したのちに決められたらと考えます。
@keitawatanabe
いつも貴重なご意見をありがとうございます。
>和名のない種に下位分類群の和名をつけることの利便性はどのようなものがあるのでしょうか。
たとえば、日本でよくみられる植物の種リストをこちら( https://www.inaturalist.org/observations?place_id=6737&subview=map&taxon_id=47126&view=species )で確認する場合、ウラシマソウのように種に対して和名がつけられていないものは学名のみの表記になるので、一見して何なのかがわかりにくくなってしまいます。
私としては、この不便さと和名が指す範囲を変更してしまうデメリットは同じくらいの大きさに感じています。keitawatanabeさんや、他の方が良いと思える方を選べるといいなと思います。
植物に関しては複雑な事情があるようですから、和名(種)や和名(亜種)ではなく、和名(広義)や和名(狭義)としてもいいのかもしれませんね。ただ、どっちつかずで両方の方法が混在するというのは避けたいと思います。動物に関しては「広義」や「狭義」とする文化が定着しているとは思えないのと、和名(種)などとしたほうが自然に思えます。動物は階級名、植物は広義・狭義、とするのは良いかもしれません。見栄えはともかく、丸括弧は半角の方が場所をとらず上手く表示されやすいかと思います。
菌類に関しては「日本産菌類集覧和名リスト ( https://www.mycology-jp.org/html/checklist_wlist.html )」をざっと見た限りでは、亜種・品種・変種にのみ和名が与えられていて、種に和名がついていないことはあまりないように見えました。大抵は種内分類群では種とは別の和名がつけられているようです。
色々と投げかけたままで、返信が追いつかずに申し訳ありません。
@sable @genjitsu
古い学名と和名について
>②新和名の提唱により、旧和名が使われなくなった場合
に関して承知しました。既定名称から外すことで問題ないと思います。
今後、キュレーターにフラグ処理してもらう際に参考にすると思いますので、本ジャーナル投稿のうちこの部分に関連する箇所だけは英訳があると良いかもしれません。
>①分類の変更により、別の分類群に和名が移ったため、従来の分類群に対してその和名が使われなくなった場合
>分類群「A」が和名「α」と呼ばれていたが、分類群「B」が和名「α」と呼ばれるように変更された場合、分類群「A」に対する和名「α」を和名「α(旧名)」に変更する
について、同定時の動作確認などありがとうございました。個人的には、ネジバナの学名-和名関係を変更したときのように、分類群へフラグを付けて周知した上で和名を削除してしまっても問題ないように感じていましたが(https://www.inaturalist.org/flags/529021 )、誤って再度和名を付け直す可能性を考えると、(旧名)を付記する方が良さそうでしょうか。上記の対応で良いと思います。
この場合、設定を「偽」にするか否かはいかがでしょうか。例に挙げて頂いたソトベニコヤガは現在旧名を偽にしていますが、これにより検索結果(https://www.inaturalist.org/search?q=ソトベニコヤガ )では学名で表示されるようになっています(別名として表示されますが…)。あまり煩雑な運用を決めるのもわかりにくくするだけだと思いますが、見やすさでは今の状態の方が良さそうです。
@sable @keitawatanabe
種内分類群の和名を種に重複して(広義)として付けることについて
ご指摘ありがとうございます。ヤハズエンドウに関してはYList(http://ylist.info/ylist_detail_display.php?pass=35624 )を鵜呑みにしていましたが、学名との対応を考えると、確かに今のままですと違和感がありますね…。
維管束植物和名チェックリストの「Hub_data」シートで比較すると分かりやすいのですが、YListは「施設に保存されている研究用植物のデータベース」という目的上おそらく幅広に目録を作成していて、種に対する和名を広義、基亜種(あるいは日本に分布する代表的な種内分類群)に対する和名を標準または狭義としているのだと思います。一方でGreenListはレッドリスト編纂のために作成されたため、種内分類群をより厳密に扱う必要があるためなのか、自動名を厳密に運用している印象があります。(ヤハズエンドウ(広義) Vicia sativa は、「JN_dataset」シートの37585行目をご参照ください)
私の意見としては最初のコメントに戻ってしまうのですが、総論としては、私も種と種内分類群に同じ和名を付けない方が良いと考えていて、種内分類群に和名があるのであればそちらを優先すべきと考えています。
ただし次の場合は、種にも(広義)の和名を設定することに意義はあると思います。
①日本だけに複数の種内分類群が分布している場合
海外のユーザーからみたとき、日本にのみ分布する種内分類群まで考慮してIDが付くことは少なく、種にも広義の和名を付けることで、基亜種を含む分類群がどのように分布しているか見やすくなります。
②POWOやPPGとの兼ね合いで種内分類群の設定が難しい場合
これは学名の問題になってしまうのですが、YListなどの国内の学名リストとの兼ね合いで学名の登録が難しかったり、過去に種へシノニムとして統合されてしまった場合に、広義、あるいは標準和名として設定することはやむを得ないかと思います。
(広義),(狭義)という記載方法に異論ありませんが、実際のところ、上記の①、②を厳密に運用するのは一般ユーザーにはかなり難しいことと思います。維管束植物和名チェックリストで示されている広義・狭義から、必要なものに絞って広義の和名を設定していくのではいかがでしょうか。既に付いている和名についても、皆さんの議論を踏まえて、この機会に見直してみても良いかもしれません。
また、例示していただいた(https://www.inaturalist.org/observations?place_id=6737&subview=map&taxon_id=47126&view=species )学名のみでは分かりにくいというのは、一般ユーザーの視点からみると確かにそのとおりですので、既存のチェックリストから外れない範囲で、最低限の種に(例えば頻出する種に限るなど)和名を付けるというのではいかがでしょうか。
誰がどう決めるのかというところが難しいのですが、これまでの議論も拝見して、一概に決めにくい印象を改めて持ちました。分類学的な厳密さと一般ユーザーのわかりやすさを上手く両立できたらと思っております。
@sable 対応ありがとうございます。「iNatのシノニムリストに対応する学名があれば和名をスライドしてもよい」くらいにするのもいいかと思いましたが、どのシノニムをどのくらい登録するかも現状かなりバラつきがあるように見受けられますしシノニムの登録のためだけにフラグを利用するのも不毛な気がするので、やはり基本方針として縛るのは難しそうですね。かつて同種扱いになっていた海外の個体群から分離された経緯をもつ日本産の個体群に関して、分離元と分離先で二重に和名が登録されてしまう可能性等は残りますが、「旧名」の併記案としてすでに議論が進んでいるようなのでそちらは別個に方針を設けるということでよいと思います。旧名の併記については賛成です。
@heikindai_87 @sable
ご参考まで、シノニム(偽の学名)をiNatに登録することはユーザーでも可能です。
植物の例しか出せなくて恐縮ですが、オカタイトゴメはYListなどの国内目録ですとSedum japonicum subsp. oryzifolium var. pumilumですが、iNatが学名登録の際に推奨しているPlant of the World OnlineではSedum japonicum var. pumilumと扱われているので、偽の学名としてSedum japonicum oryzifolium pumilumを追加しています。
https://www.inaturalist.org/taxa/1240302-Sedum-japonicum-pumilum
@sable @utchee @heikindai_87
種レベルの和名がないと種リストで和名が表示されないのですね。
utcheeさんの「維管束植物和名チェックリストで示されている広義・狭義から、必要なものに絞って広義の和名を設定する」
heikindai_87さんの「iNatのシノニムリストに対応する学名があれば和名をスライドしてもよい」
にはいずれも賛成です。加えて、YListの方針のように、必要であれば種内分類群の名前に(広義)を付けて種名を登録しておくことでおおよその問題は解決できそうに思います。
説明不足でしたが、一例としてVicia sativaをヤハズエンドウ(広義)とつけることは問題ないと考えています。
命名規約でもsensu lato(広義)やsensu stricto(狭義)があり、用法は同じではありませんが言いたいことは広く共有されると思います。
補足します。Vicia sativaをヤハズエンドウ(広義)とつけることについては「ヤハズエンドウという分類群の認識をVicia sativaに拡大する」という意味ではなく、「Vicia sativaにヤハズエンドウが含まれる」という認識です。前者にも取れそうですが、YListを含めそういう意図はないと考えています。
@utchee
あれ、そうなんですか?ヒメアシブトクチバのシノニムとしてList-MJ掲載学名のParallelia dulcisを登録しようとすると「学名の追加・変更ができるのはキュレーター管理者のみです。」というメッセージが赤いバーとともに表示されるんですが…。
@heikindai_87
テスト用のアカウントで試したら、確かに同じ画面が表示されました。気づかなかったです、申し訳ありません。
シノニムの登録もキュレーター権限が必要なのですね…。フラグを立てれば処理してもらえると思うのですが、億劫ですね…。
@utchee いえ、お気になさらず。ただ私としては上に書いたとおりで、シノニムの登録でフラグを立てるのはタクソンの統合などにとどめておいた方がいいんじゃないかとは思います。
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